認定皮膚科専門医 アレルギー専門医 
漢方専門医

医療法人 北村皮膚科(八戸市)認定皮膚科専門医  アレルギー専門医 漢方専門医

0178-43-1325

青森県八戸市根城1-14-15

アクセス

診療内容

腋窩多汗症について

症状

 シャツに汗染みが出来てしまうなど、多量のワキ汗により日常生活に支障をきたす状態を「腋窩多汗症」といいます。発汗に関与するコリン作動性交感神経が興奮しやすいことが要因の1つと考えられていますが、はっきりと分かっていません。明らかな原因が無いまま6か月以上みられ、以下の6症状のうち2項目以上当てはまる場合、「原発性腋窩多汗症」と診断されます。

  • 25歳以前に発症した
  • 両ワキで、左右同じくらいの多汗がある
  • 眠っている間のワキ汗はひどくない
  • 週1回以上の多汗を自覚する
  • 家族の中に同じようなワキ汗の人がいる
  • 多汗により日常生活に支障が生じている

治療

1.塗り薬

エクロック®ゲル

  • 2020年11月に発売された、日本初の原発性腋窩多汗症用外用剤(ワキ汗の塗り薬)で、12歳以上が適応となります。
  • 抗コリン薬の塗り薬であり、交感神経から出る汗を出す指令をブロックし、発汗を抑える働きを示します。
  • 薬の費用は3割負担の方で20gボトル(約2週間使用可能)が1本1500円程度、40gボトル(約1か月使用可能)が1本3000円程度です。詳しくは下記リンクをクリックし参照下さい。
ワキ汗の情報・サポートサイト ワキ汗治療ナビ

ラピフォート®ワイプ

  • 2022年5月に新たに発売された、シートタイプのワキ汗治療薬です。1日1回、通常入浴後にこの製品でワキ汗をふき取ります。1回使い切りの製剤ですので清潔に使用できるのがメリットです。
  • 9歳以上の患者さんに保険適応があるので、エクロックゲルが使用できなかった9歳~11歳の子供さんにも使用は可能です。
  • こちらも抗コリン薬の塗り薬ですので作用機序はエクロックゲルと同様であり、交感神経から出る汗を出す指令をブロックし、発汗を抑えます。
脇汗にお悩みの方へ

塩化アルミニウム溶液

  • 汗の出口を塞ぎ、汗の量を抑える働きがあります。
  • 臭いを抑える効果も期待できます。ただしワキガ(腋臭症)を治すことはできません。
  • 保険適応の無い薬剤です。当院では20%溶液と50%溶液を院内製剤として取り扱っております。詳しくは「掌蹠多汗症」の項目をご覧下さい。

2.注射

ボトックス®

 エクロックゲルや塩化アルミニウム溶液外用でも改善しない、重症の原発性腋窩多汗症に対する治療法であり、保険適応があります。費用(自己負担額)は3割負担の方で両腋窩に注射を行うと、約20000円程度です。
 院長は青森県立中央病院勤務時代に多数行ってきた治療ですが、県南地区ではあまり積極的に行っている医療機関が無いようです。塗り薬の治療に比べ格段に効果的な治療法です。デメリットは薬剤費が高いこと、施注時の痛み、予約制であることでしょうか。ボトックス治療にご興味のある方はスタッフまでお気軽にお問い合わせ下さい。
 ※腋窩多汗症に対するボトックス治療は15歳以上が適応となります。
 ※美容皮膚科、美容外科のクリニックでは自由診療としてボトックス治療を行っているところもありますが、当院で行っているボトックス治療は保険診療です(よって自己負担額は自由診療より低いことが多いです)。

ボトックス治療の流れ
  1. まず問診にて、ボトックス治療の適応があるかを確認します。
  2. 適応があった場合には同意書を用いて説明し、署名をいただきます。
  3. ボトックス治療を行う日時を決めます。下記曜日・時間で予約をお取りしております。
  4. ボトックス施注の際、どうしても痛みがあります。それを和らげるため、ご希望の方には麻酔のクリーム(エムラクリーム 5g1本;2200円(税込)➤1~2本必要です)、もしくは麻酔のテープ(リドカインテープ 1枚5㎝×3㎝;100円(税込)➤女性は両腋窩で計8枚、男性は計12枚程度必要です)をご用意しております。当院来院の30分~1時間ほど前に、ご自宅で両ワキを洗浄後に治療部位とその周辺に塗布もしくは貼付し、エムラクリームの場合は塗布後にラップを貼ってきて下さい。
  5. 処置室で自宅で塗ってきた麻酔クリームを拭き取る、もしくは貼ってきた麻酔テープを剥がした後、やはり疼痛緩和目的に両ワキを保冷剤で15分程度冷やしてもらいます。
  6. 処置ベッドへ横になり施注の体勢を取ってもらった後、医師が両ワキにマーキングをします。
  7. ボトックスを片方あたり、15~18箇所ほど注射(皮内注射)します。
  8. 待合室でしばらく休んでもらい、体調に変化が無いことを確認後、帰宅となります。
火曜、水曜、木曜、金曜日11:00~
  • 治療前日もしくは当日に両腋窩の剃毛をして来て下さい。
  • 腋窩多汗へのボトックス施注が他院を含め初めての方は、初回施注後2~3週後に効果、副作用の確認のため再診下さい。
  • 他院で腋窩多汗へのボトックス施注の経験があり副作用が無かった方、当院でのボトックス施注が2回目以降の方は再診の必要はありません。
  • 電話でのボトックス治療の受付はしておりません。施注を希望される方は前年に施注を行っていても必ず当院を1度受診してもらい、同意書に署名頂き予約を取っていただく必要があります。
  • 4~9カ月間効果が持続する治療法ですので、次の治療(施注)まで4カ月以上間隔を空ける必要があります。
  • ボトックス施注後、女性は2回の月経が終わるまで、男性は3か月間の避妊が必要です。
ボトックス治療

3.内服

1.抗コリン薬(プロ・バンサイン®)、自律神経失調症治療薬など

プロ・バンサイン®
  • 日本で唯一、西洋薬の中で「多汗症」に対し保険適用のある飲み薬(抗コリン薬)です。15歳以上が適応となります。
  • エクロックゲル・ラピフォートワイプと同様に、交感神経から出る汗を出す指令をブロックし、発汗を抑える働きを示します。
  • 比較的即効性があり、効果がある方には服用後1時間ほどで効果が現れ、約5時間効果が継続します。
  • 飲み薬なので、一度の服用で全身の汗を抑えることが可能です。よって、腋窩多汗症と掌蹠多汗症がある方や、頭部・顔面の多汗症がある方に適しております。
  • 閉塞隅角緑内障の方、前立腺肥大による排尿障害のある方、重い心臓の病気がある方は服用できません。
  • 副作用として眼の調節障害、眠気を起こすことがあるので、本剤を服用中の方は、自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事しないこと、とされております。

2.漢方薬

 「多汗症」に保険適応がある漢方薬は、「防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)」、「補中益気湯(ほちゅうえっきとう)」があります。
 また、「ねあせ」という適応症を持つ漢方薬として、「黄耆建中湯(おうぎけんちゅうとう)」、「十全大補湯(じゅうぜんたいほとう)」、「人参養栄湯(にんじんようえいとう)」があります。
 漢方治療に興味がある方、漢方薬も一緒に飲んで治療を受けたい方は診察時、お気軽に申し出て下さい。

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